スパークする思考 by 内田和成
■どういう本か。
この本は面白い。
かのBCGで20年間やってきて日本代表まで努めたという
一般的には、いわゆるロジカル・分析思考の塊だと思われる方が書いた
”右脳発想の独創力”という本。
はじめにから、言い切っている。
ロジカルシンキングやデータ分析力が重要だと思い込み、MBA、あるいは経営コンサルタントの
好む各種の分析手法を珍重する。様々な情報を溜め込み、整理してDBを構築しようとする。
それで、分析力は身につくかもしれないが、斬新な発想力を失ってしまう。
そんなことは辛いし、無駄だからやめようと私は言いたい。(一部編)
これは、ロジカルさだけで押しがちな(や、若手のうちは基本として大事なんだけど)若手には、
考えを変える一言ではなかろうか。さらに、
勘というものは、多くの場合、過去の経験に裏づけされて自然と取捨選択をした結果であり、
それほど非科学的なものではない。当る確立は決して低くない仮説なのだ。
そうした判断や行動、強いて言えば右脳的思考を封印してしまうというのは、
実にもったいないことだと私は思う。
右脳思考の重要性が、理由と共に整然と語られている。
ここに著者の大きな独自性を感じる。
では、スパークするための思考プロセスとは、何か。
私の視点(三方よし、の私の部分!)からすると一番だいじなのはここの部分。
■デジタルとアナログを混ぜて使う。
情報は、収集 → 加工 → 発信 というプロセスを辿って価値と成る。
この3つのそれぞれプロセスでアナログとデジタルのやり方がある。
すべてをデジタルにすることに意味はない。アナログよりいい成果は出ない。
むしろすべてをアナログ化してよいほどだ。
現実的には、少なくとも一つ最も効果の高い
「収集」をアナログにすることが好ましいと著者は考えている。
収集:人から聞く、体験する
加工:手を動かす
発信:口頭でプレゼンテーション
さらに、本論で一番大事な「スパークする思考のポイント」を紹介。
1.問題意識を持っていて何かに引っかかる
2.現象(情報)を見て、興味がわき(あるいは、疑問がわき)問題意識が生まれる
3.自分の仮想データベースを検索する
その他、細かいポイントもしっかり押さえられているー
・左脳と右脳のバランスをとろう。
・脳にレ点を打つ
・ラベルをつけて脳内に貼っておく
・「ネタは仕入れたら、使って見ないと測定できない。だから早く話す」
よく見落としがちなのだが、こういう発散系のテーマを扱う本を読むと
うれしくなって「よし、発散で反省しない!」と単純解釈しがちなので気をつけよう。
大事なのはこの思考法を試すだけじゃなくて「結果を出す」ということである。